WORK
事例
全部できますではなく「現実解」を伝える─予算・納期に応えるインスタントウィン開発

TOPPANデジタル株式会社
事業推進センター
藏本 美香様(写真右)
秋永 将人様(写真左)
DX推進コンセプト「Erhoeht‑X®」のもと、印刷・BPOで培った運用力と設計・開発支援のデジタル技術を融合したサービスを展開されているTOPPANデジタル株式会社(https://www.digital.toppan.com/)の皆様にお話を伺いました。プロジェクトを立ち上げられた藏本美香さん(以降、藏本)と、プロジェクトを引き継ぎ現在ご担当いただいている秋永将人さん(以降、秋永)にアクセルユニバース(以下、AUC)を選定いただいた理由や、今後期待することなどをお話いただきました。
プロジェクト概要
本日はよろしくお願いいたします。はじめに今回のプロジェクトについて教えてください。
藏本 当社の事業には電子マネー・ギフトカードのサービスがございます。当社のギフトカードASPサービスでは、ギフトカードやハウスマネーの残高管理をサーバーにて行っています。本件では、「ハウスマネー」を対象にしたキャンペーン施策の一環として「インスタントウィン機能」の新規開発を進めることになりました。予算の都合上、納期まで4か月という短期プロジェクトだったので、スピード感と品質のバランスが重要でした。
実績と"制約の中で最良の形を一緒に探す"が選定の決め手
システム開発ベンダーの選定にあたって、どのような軸で比較検討されましたか?最終的に弊社を選んでいただいた理由を教えてください。
藏本 顧客満足度を上げるという当社のお客様の利益が上がるようなサービスを実現することが本プロジェクトの目的でした。そこで、エンドユーザー向けのサービスである「インスタントウィン」機能について、当社としてはこれまでに実施したことがなかったため、UI/UXの知見や実績があるベンダーにお願いしたいという思いがありました。
御社はまさにインスタントウィン構築の実績があり、UI/UXの知見が深いという点で非常に魅力的で、最初は「ぜひ一緒にやりたい」と感じていました。ただ、当プロジェクトは予算も納期もあらかじめ決まっている短期案件だったため、初回の打ち合わせで御社から「すべてを実現するのは難しいかもしれない」と正直にお話しいただいたときは、「条件に合わないのであれば、ほかのベンダーを検討するしかないな」と思ったのも事実です。
しかし、その後のやり取りの中で、「この範囲であれば実現可能です」「この要件であれば対応できます」と、納期と金額という制約の中でも、こちらの要望に合わせて柔軟に対応しようとしてくださる姿勢を感じ、最終的に御社にお願いしたいと思いました。 "全部できます"という姿勢ではなく、"制約の中で最良の形を一緒に探す"という提案の仕方がとても信頼できると感じましたし、そこが選定理由としては一番大きかったと思います。
今回のプロジェクトを通して、システムの完成度や柔軟な知見を重視し、単なるコストではなく"価値"に投資したい企業にとって、御社は非常に相性の良いパートナーだと感じました。特に、エンドユーザーへの影響やサービスに強い責任感を持ち、品質を追求したい企業にとっては、心強い存在だと思います。
開発するための軸は「お客様のために」
嬉しいお言葉をありがとうございます。要件定義の中で、すべての機能を実装するのではなく、優先順位をつけて絞っていく作業がありました。どのようにその判断をされていきましたか?
藏本 今回はリリースまでの期間が限られていました。御社からのご提案に基づきながら、最初から「すべての機能を実装する」のではなく、優先順位をつけて要件を絞っていくことを意識して進めました。 具体的には、「お客様が使う上で必要なもの」や「これがなければキャンペーンの魅力が伝わらないもの」を軸に判断しました。また、PoC(概念実証)の段階では、運用負荷の高い一部機能については、社内対応で補う方針とし、本番リリースまでに必要な機能だけを開発スコープに含めました。段階的に整理しながら、限られた期間の中でリリースできるように進めていた、というのが当時のスタンスでした。
秋永 私が引き継いでからは、藏本がしっかり整えた土台をもとに、さらに「どの機能を追加していくか」を検討するフェーズに入りました。今は「これがあればもっと便利になる」「エンドユーザーにとってより使いやすくなる」といった視点で、追加機能の候補をリストアップし、そこから本当に必要なものを選定しています。ユーザーの利便性や体験の向上を重視しながら、優先順位をつけて開発を進めるという軸は、現在も変わらず続いています。
ハードなプロジェクトでもワンチームで走り切る
大きな軸は変わらないんですね!実際にプロジェクトが進行する中で、印象に残っていることはなんでしょうか?
藏本 開発を進める中で、最も大変だったのはテスト工程だったと思います。要件定義フェーズでは、御社がドキュメントを非常に丁寧に整理してくださっていて、スムーズに着手することができました。 その後のテスト工程では、300項目以上のケースを単体・結合・総合と繰り返し、抽選ロジックについても100回単位で検証するなど、まさに手探りでの対応が続きました。限られた期間の中で「障害を出さないこと」を最優先に、必死で取り組んでいたのを覚えています。
過去には、テスト結果の提示すらないベンダーと苦い経験をしたこともあり、「すべてを任せきりにしない」という意識が私たちにもありました。実際、御社に作成いただいたテストケースとは別に、私たち自身でも独自にテストを行い、不具合を発見・共有できたことは、プロジェクト成功につながった大きな要因だったと思います。
一方で、御社の高いマネジメント力と丁寧なドキュメント整備があったからこそ、こちらも状況把握や意思決定がしやすく、非常に進めやすい環境でした。結果として、お互いがそれぞれの立場で責任を持ち、大変な時期でも補い合いながら進める"ワンチーム"のような関係性でプロジェクトに臨めたことが、今回の大きな成果につながったと感じています。
AWSを選定した理由ー安心感と将来の拡張性を重視して
藏本 当社ではこれまでオンプレミス環境を中心にシステムを構築してきましたが、一部のサービスではすでにAWSを活用しており、今後は基幹システムのクラウド移行も予定しています。今回のプロジェクトでAWSを選定した背景には、大きく2つの理由があります。
1つ目は、クラウド基盤としての信頼性と高いセキュリティ対応力です。当社は事業上、セキュリティに関する社内基準が非常に厳しく、特にシステムの可視性や統制の確保は欠かせませんでした。AWSは、セキュリティ運用に必要な機能をマネージドサービスとして提供しているため、インフラ側にかかる負担を抑えつつ、安心してシステムを構築できました。例えば、システム構成や変更履歴をAWS Configで常時監視し、操作ログはCloudTrailで記録。通信やデータの暗号化にはKMSを活用しました。WAFやInspectorにより、脆弱性や外部からの攻撃にも備え、さらにSecurity Hubを使ってセキュリティ全体の可視化と対応状況の一元管理を実現。こうしたツール群を自然に組み合わせることで、セキュリティとスピードの両立が可能になりました。
2つ目は、将来的な拡張性と柔軟なスケーリングへの対応です。今回の機能はオプション提供であり、リリース当初は利用者が少ない可能性も想定されていました。そのため、将来的にユーザー数が増加しても柔軟に対応できることを重視しました。オンプレミスではリソースの先行投資が必要になる一方、AWSであれば必要に応じてリソースを拡張できるため、本サービスの不確実性にも対応できると判断しました。
今後期待すること
秋永
今回の取り組みは、社内でも「新しいサービス」として高い期待を寄せられており、その期待を超えるような、さらには他のサービスでも導入を検討してもらえるような、成果を出したいと考えています。今後、PoCや本番リリースを経て、エンドユーザーやお客様から多くのフィードバックが寄せられると思いますので、一つひとつ丁寧に向き合いながら改善を重ね、より使いやすく価値のあるサービスへと育てていきたいです。
御社からのレスポンスも常に早く、コミュニケーションも円滑で助かっています。一方で、私たちが部署内でしか使わない専門用語をそのまま使ってしまったり、相手がシステムを知らない前提での説明が不足してしまう場面もあったりしてしまったかもしれません。今後はそうした点をお互い意識しながら、双方の理解を深め、よりスムーズなやり取りができる関係性を築いていけたらと思っています。
引き続き、よりよいサービスをつくっていけるよう、全力で取り組ませていただきます。本日はありがとうございました。
TOPPANデジタル株式会社
事業推進センター
藏本 美香様(写真中央)
秋永 将人様(写真左)
アクセルユニバース株式会社
竹中 涼香(写真右)
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