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書類の「目視チェック」を生成AIで劇的に効率化─ AWS RAPIDの導入の勧め
はじめに
書類審査業務のDXを実現する「AWS RAPID」
設計書や契約書、申請書などの書類審査業務は、多くの組織で重要な業務の一つです。
しかし実際の現場では、「チェック項目が多すぎる」「確認する書類が膨大」「審査に時間がかかる」といった悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
書類には複雑な文章や図面が含まれており、仕様書や法規制、ガイドラインに基づく多数のチェックリストを参照しながら確認を進める必要があります。
さらに件数が多い場合、1件の作業時間は短くても、組織全体では大きな工数となり、担当者の負担は決して小さくありません。
- 書類審査の精度とスピードを両立させたい
- 生成AIを実務に活用したいが、具体的な導入イメージが湧かない
- 非エンジニアでも着手できる、実用的なDX施策を探している
こうしたニーズに応えるのが、AWSが提供するソリューション
Review and Assessment Powered by Intelligent Document Processing(RAPID)
です。
AWS RAPIDは、生成AIの力を活用して人が行う複雑な規定への適合判断を支援する仕組みです。
AIが一次確認を行い、人が最終判断を担う
ことで、担当者の専門性を活かしながら確認作業の負担を大きく軽減できます。
本記事では、業務改善に直結するAWS RAPIDについて、使用例を交えて分かりやすく解説します。
1. AWS RAPID とは
AWS RAPIDは、書類審査業務を効率化する、AI活用ソリューションです。
審査基準となるガイドラインと審査対象書類をAIが照合し、自動で合否判定します。最終確認は人が行います。
わずか 2ステップ で書類審査が完了します。
Step1:AIがチェックリストを生成
審査のガイドラインとなるファイルをアップロードすると、AIが内容を解析し、審査の観点を抽出したチェックリストを自動で生成します。
テキスト中心の書類はもちろん、表を含むドキュメントにも対応可能です。
【 人の手で最適化 】
生成されたチェックリストは人が確認・修正でき、目的や審査基準に応じて調整できます。
Step2:AIによる審査判定
完成したチェックリストと審査対象のファイルを照合し、AIが項目ごとに「合格」「不合格」を判定します。
【 人が最終判断 】
AIの判定結果を人が確認し、必要に応じて結果を上書き修正することができます。
セキュリティへの考慮
RAPIDは、お客様専用のAWSアカウント内で構築するため、データはお客様自身のAWS環境内に留まり、外部に漏洩しない設計になっています。
また、AIへアップロードするファイルやプロンプトへの入力および出力データは、モデルの学習に使用されず、サードパーティのモデルプロバイダーに配布されることもありません。
(AWS ユーザーガイド Data protection より:
https://docs.aws.amazon.com/bedrock/latest/userguide/data-protection.html)
2. RAPIDによる書類審査デモ
実際の審査実行手順を、ハウスメーカーの商談議事録を事例としたデモデータを用いて解説します。
下記が、審査のガイドラインとなるドキュメントです。

様々な要件がありますが、例えば「子供部屋1室を含む3部屋構成」という要件が含まれます。こちらのドキュメントから、AIがチェックリストを生成します。
チェックリスト画面からジョブを新規作成し、ファイルをアップロードすると、数分程度でチェックリストが生成されます。PDFファイル1枚の場合、3分ほどでチェックができます。
下記が実際に 生成されたチェックリスト です。先程の「子供部屋1室を含む3部屋構成」も適切に抽出されています。審査観点の抽出が不適切であれば、手作業で修正します。
審査画面から
審査ジョブ
を作成します。
審査対象のファイルをアップロードし、先ほど生成したチェックリストを選択します。
今回の審査対象は、商談記録をもとに作成した3LDKの間取り図です。
PDF1枚程度であれば、4分〜8分程度で審査が完了します。
詳細を開くと、
審査結果
を確認できます。
各チェック項目に対し、
「合格」
「不合格」
で判定されます。
判定結果にかかわらず、
判定の根拠
と
参照元のドキュメント
を確認することができます。
作業担当者は、AIが判定結果を間違えている場合、結果を上書きすることができます。
審査の精度を確認します。
先程の「子供部屋1室を含む3部屋構成」という条件については、不合格となっています。
その理由として、「3部屋のうちどれが子供部屋であるか明示されていないこと」、また当該構成について「当事者間で合意が確認できていないこと」が挙げられています。
このように、単なる表面的な記載の一致を確認するだけでなく、要件の充足状況まで踏み込んだ
高度な判定
をすることが可能です。
例えば、追加書類の提出が求められているにもかかわらず、確認できない場合には、不合格と判定されます。
3. AWS RAPIDのプロンプト改良で精度向上
審査ガイドラインには、下記のように 図や表 を含むドキュメントも使用できます。
しかし、図表が含まれる場合は、テキストのみのドキュメントと比べて精度が低下する傾向があります。
上記の車庫証明の記載例では、「新規代替欄」「車両情報記載」「所在図が省略できる場合」「使用権原欄」の審査観点を適切に抽出できませんでした。
図や表が含まれるドキュメントについては、デフォルトのプロンプトでは対応が難しい状況です。
そこで、
プロンプトを改良
し、チェック項目の抽出精度が向上するかを検証します。
プロンプト管理画面から、空欄および必須項目を判定するプロンプトを作成します。
このプロンプトで再度チェックリストを生成します。
その結果、「新規代替欄」「車両情報記載」「所在図が省略できる場合」「使用権原欄」について、詳細な審査観点とともに
すべて適切に抽出されました
。

この精度を高めたチェックリストを使用することで、審査精度をさらに向上させることができます。
このように、一度で完璧なチェックリストを生成できなくても、 プロンプトを改良することで、より完成度の高い審査を実現 できます。
4. RAPIDの「嬉しい点」とまとめ
今回の検証を通じて、AWS RAPIDによる書類審査フロー自動化の
圧倒的なスピード
を体感できました。速さに加え、実用性の観点でも特に秀逸だと感じたのが以下の2点です。
1.「ゼロから審査」から「人間は確認するだけ」へ
AIによる精度の高い一次審査で、人間側の確認作業の負荷が最小限に抑えられます。
- 文脈や「暗黙の了解」を汲み取る精度が高く、書類不足を的確に指摘するなどの高度な読解力を備えています。
- 判定の根拠(思考プロセス)をAIが明示してくれるため、人間はその妥当性をチェックするだけで済みます。
2. ソースコードの変更は不要。プロンプトチューニングの手軽さ
図や表が混在する複雑な書類の読み取りにはまだ伸びしろを感じますが、 プロンプトをわずかに改良するだけで、チェックリスト生成の精度が劇的に向上した ことには感動しました。
さらに、ナレッジベース(RAG)を活用し、専門分野に特化したカスタマイズも可能です。
例えば「2拠点間の距離が5km以内」という要件に対し、書類上の住所からAIが実際の距離を計算して判定を出す、といった高度な処理も実現できそうです。
AWS RAPIDの活用が期待されるシーン
今回の検証結果を踏まえると、以下のような整合性や適合性が問われる場面で活躍すると考えられます。
- 設計書と成果物の整合性チェック
- Webサービス実装時などの法務ガイドライン準拠チェック
- テストや試験の採点・評価の支援
- 補助金・助成金の申請書類および要件の確認
- 履歴書と募集要項のマッチング、採用業務の補助
- 特許出願書類の構成チェックや先行事例との照合
- 融資審査(申込書・決算書・事業計画書)の整合性確認
おわりに
AWS RAPIDは人間のような柔軟な読解力と、AIならではの速さを併せ持つことがわかりました。今後の審査業務における強力なパートナーになると感じています。
プロンプトの工夫や外部知識との連携次第で、専門性の高い判定の効率化も実現可能です。
「書類審査に時間がかかる」「担当者によって判断基準がバラつく」といった課題を抱えている方は、ぜひ活用をご検討ください。
当社では、生成AI活用に関するご相談を承っております。導入に向けたご相談や詳細な情報につきましては、下記よりお気軽にお問い合わせください。