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システム運用の未来を変える!SREのメリットとは?

2024.12.26 深川 愛子
SRE コラム
システム運用の未来を変える!SREのメリットとは?


  1. はじめに
  2. SREとは?
  3. SREのメリット
  4. SREのデメリットと対策
  5. まとめ


1.はじめに

現代のITシステムにおいて、システムの信頼性は企業にとって最も重要な要素の一つです。サービスの停止や障害は、顧客満足度の低下や収益損失に直結するため、システムを安定して稼働させることが求められています。しかし、システムの複雑化や運用業務の負担増加により、信頼性を確保するのは容易ではありません。 この課題を解決するために注目されているのが、SRE(Site Reliability Engineering) です。SREはGoogleが提唱した運用手法で、システムの信頼性を高め、サービス停止や障害を防ぐことを基本的な目的としています。 本記事では、SREの具体的なメリットと導入の重要性について解説します。


2.SREとは?

SRE(Site Reliability Engineering)は、システム運用にソフトウェアエンジニアリングの手法を取り入れ、信頼性と効率性を向上させるアプローチです。特に、サービスの停止や障害を防ぎながら、安定したシステム運用を実現することに重点を置いています。


SREの基本的な目的

・システムの可用性と信頼性を確保

・サービスの停止や障害の未然防止

・運用タスクの自動化による効率化

・継続的な運用改善


SREの主な要素

・SLI(Service Level Indicator):サービスの状態を数値で示す指標(例:稼働率や応答時間)。

・SLO(Service Level Objective):SLIに基づく目標値(例:稼働率99.9%以上)。

・エラーバジェット:サービスの停止許容範囲を定め、デプロイや改善のバランスを取る仕組み。

SREのメリット


3.SREのメリット

SREを導入することで、企業はシステム運用をより信頼性が高く効率的なものへと進化させることができます。以下に、SREの主なメリットを解説します。


3-1.システムの信頼性向上

SREの最大の目的は、システムの信頼性を高めることです。SLIやSLOを設定し、システムの状態を定量的に管理することで、障害発生を未然に防ぎます。

効果

サービス停止のリスクを大幅に低減し、ユーザー体験を向上させます。


3-2. 障害対応の迅速化

障害が発生した場合、SREでは標準化された対応プロセスや自動復旧スクリプトを用いて、迅速な復旧を実現します。また、障害後には「ポストモーテム(事後検証)」を実施し、再発防止策を徹底します。

効果

ダウンタイムを最小限に抑え、システム安定性を維持します。


3-3. 運用自動化による効率化

SREでは、繰り返し発生する運用タスク(例:ログ監視や障害対応)を自動化します。これにより、エンジニアは戦略的な業務に集中できるようになります。

効果

人的ミスの削減と運用効率が向上します。


3-4.継続的な運用改善

障害の原因分析や運用データのフィードバックを基に、運用プロセスを継続的に改善します。これにより、システムの信頼性がさらに向上します。

効果

長期的な安定稼働と効率的な運用体制が確立できます。

SREのメリット


4. SREのデメリットと対策

SREには多くのメリットがありますが、導入に際しては以下のような課題もあります。


4-1.導入に時間とコストがかかる

SREの導入には、SLI/SLOの設定や運用体制の見直し、自動化ツールの構築などが必要で、初期段階でコストや時間がかかります。

対策

・小規模な試験運用(PoC)から始め、段階的に導入を進める。

・外部の専門家やパートナー企業のサポートを活用する。


4-2.高度なスキルが求められる

SREを実践するには、運用自動化やデータ解析の知識が必要です。チームメンバーのスキルアップが求められる場面もあります。

対策

・専門トレーニングや教育プログラムを実施する。

・SREの専門家を採用または育成する。


4-3.運用形骸化のリスク

SREの導入後、運用が形骸化し、改善サイクルが停滞するリスクがあります。特に、ポストモーテム(事後検証)が適切に行われないと、運用効果が低下する可能性があります。

対策

・定期的な運用レビューと改善サイクルをプロジェクト化する。

・SREの責任者を明確にし、継続的な改善を推進する体制を構築する。


5. まとめ

SRE(Site Reliability Engineering)は、システムの信頼性向上を軸に、運用効率化とサービス停止の未然防止を実現する強力なアプローチです。

SRE導入の主なメリットは、①システムの信頼性向上、②障害対応の迅速化、③運用自動化による効率化、④継続的な運用改善の4点でした。

一方で、導入時には時間やコスト、スキル不足の課題が伴う場合があります。しかし、適切な計画と体制構築、外部の専門家のサポートを活用することで、これらのデメリットを解決できます。弊社にはこれらの課題を解決しながらSREの導入を成功に導いた多くの実績があります。


<お客様からいただいたお言葉>

・依頼していなかったら、AWSセキュリティ改善活動は、後回し・先送りになりスタートすらできていなかった

・技術力の高さから得られる安心感を感じる、無い知見と技術力でを補っていただける

・漠然とした課題がプロジェクト化でき、柔軟な体制で進めることができるようになった


SRE導入は確かに初期段階で工夫が必要ですが、適切なパートナーがいることでスムーズに進めることができます。弊社は、お客様のシステム環境や課題に合わせた柔軟な体制を構築し、SRE導入を支援いたします。

SRE導入に興味をお持ちでしたら、ぜひお気軽にご相談ください。私たちと一緒に、信頼性の高いシステム運用を実現しましょう。

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