DEVELOPER’s BLOG

技術ブログ

AWS Organizationsから考えるマルチアカウント戦略

2024.09.05 鈴木 萌子
AWS SRE
AWS Organizationsから考えるマルチアカウント戦略

はじめに

AWSのアカウント管理を実施するにあたり「Well-Architected Framework」への考慮は必要不可欠です! 私たちAWSユーザは、AWS Organizationsを利用したマルチアカウント戦略の実践を、AWSからベストプラクティスとして推奨されています。 今回は、AWS Organizationsを利用したマルチアカウント戦略の実践により、AWSアカウント管理でよくある課題を解決する方法をいくつかご紹介いたします。


目次

  • AWSアカウント管理でよくある課題
  • AWS Organizationsによるマルチアカウント戦略
    • AWS Organizationsのみで実現
    • AWS Organizations + AWSマネージドサービスの組み合わせで実現
  • まとめ


AWSアカウント管理でよくある課題

まずはじめに、


  • アカウント管理
  • セキュリティ
  • コスト


の3つの観点から、AWSアカウントを利用する上でお客様からよく伺う課題を見ていきます。


観点 現状 課題
アカウント管理 ・複数のシステム管理に伴いAWSアカウント数が(開発/検証/本番を含めると)20〜30個ある
・AWSアカウントは社内担当者もしくは社外ベンダーが管理している
・開発会社は複数に渡り、運用もベンダーに一任している
・AWSアカウント数が多く管理できていない
・アクセス権が細かく適切に付与できていない
・設定内容がセキュリティ要件を満たしているのかをチェックする機能が無い
・チェックする機能はあるがコストがかかっている
セキュリティ ・導入必須なミドルウェアやツールの指定がある
・システム毎に個別の要件やルールがある
・ミドルウェアやツールの導入率が低い
・上記未導入時の検知 → 改善・運用が構築されていない
・個別の要件やルールの適用確認が困難である
・不正アクセス等の検知ができていない
コスト ・AWSアカウント毎に請求が個別である
・AWSのコストは月1度の請求で確認している
・個々の請求処理が手間である
・AWSの急激なコスト上昇を把握できていない
・不要なリソースの放置による微細なコスト上昇に気付いていない
・AWSの予算オーバーを請求段階でしか検知できていない


これらの課題の多くは、AWSアカウントの 個別管理 に起因しています。 では、上記課題の解決策を、AWS Organizationsを利用したマルチアカウント戦略の観点から確認したいと思います。


AWS Organizationsによるマルチアカウント戦略

まずは、AWS Organizationsの機能について確認します。


AWS Organizationsとは、AWSアカウントを統合・管理・制御するためのAWSサービスであり、追加料金は不要です。1つのAWSアカウントを管理アカウントとして指定することで組織を作成します。その組織へのAWSアカウントの作成または追加により、階層構造を実現します。この階層構造により、システムやプロジェクト毎にAWSアカウントを分けて管理することが可能です。これが、AWS Organizationsを利用したマルチアカウント戦略です。さらには、AWS OrganizationsとAWSマネージドサービスを組み合わせることにより、一層ハイレベルなAWSアカウントの管理を実現します。


pasted-2024.08.08-14.22.30.png


以下では、AWS Organizationsを利用した具体的な課題の解決方法を見ていきます。


AWS Organizationsのみで実現


観点 課題 解決方法
アカウント管理 ・AWSアカウント数が多く管理できていない
・アクセス権が細かく適切に付与できていない
・OU(Organization Unit)単位でAWSアカウントをグループ化する
・AWS Organizationsに対応しているAWSサービスに対してOU単位で設定を実施する
・IAMグループごとにアクセス可能なAWSアカウントやAWSリソースへの権限の範囲を指定する
セキュリティ ※AWS Organizations + AWSマネージドサービスの組み合わせで実現
コスト ・個々の請求処理が手間である ・管理アカウントにて全てのAWSアカウントのコストを一括支払いする


AWS Organizations + AWSマネージドサービスの組み合わせで実現


観点 課題 解決方法
アカウント管理 ・設定内容がセキュリティ要件を満たしているのかをチェックする機能が無い
・チェックする機能はあるがコストがかかっている
・AWS Configを組み合わせることで複数のAWSアカウントのAWS Configデータを管理アカウントに一元的に集約し、AWSリソースの設定と関係を継続的に監査・評価する
セキュリティ ・ミドルウェアやツールの導入率が低い
・上記未導入時の検知 → 改善・運用が構築されていない
・個別の要件やルールの適用確認が困難である
・不正アクセス等の検知ができていない
・AWS Systems Managerを組み合わせることで各AWSアカウントのインスタンスに対してセキュリティパッチを一元適用する
・Amazon S3を組み合わせることで各AWSアカウントのセキュリティログを一元的に集約する
・Amazon Athenaを組み合わせることで集約されたセキュリティログに対してクエリを一括に実行し、セキュリティインシデントの兆候を漏れ無く分析する
コスト ・AWSの急激なコスト上昇を把握できていない
・不要なリソースの放置による微細なコスト上昇に気付いていない
・AWSの予算オーバーを請求段階でしか検知できていない
・AWS Cost Anomaly Detectionを組み合わせることで各AWSアカウントの急激なコスト上昇を一元的にキャッチする
・AWS Budgetsを組み合わせることで予算逸脱時に通知を受け取る


このようにAWS Organizationsにおけるマルチアカウント戦略を最大限活用することで、


  • アカウント一元管理 : 複数AWSアカウントの統合管理
  • セキュリティ強化 : 漏れのない完全なるセキュリティポリシー
  • コスト追跡 : AWS組織全体でのコスト最適化


これらを実現し、AWSアカウントを管理する上での多くの課題を網羅的に解決することができます!


まとめ

ここまで「AWS Organizationsによるマルチアカウント戦略」について見てきました。 ご自身が利用されているAWSアカウントの管理状況と比較していただき、改善点など見つかりましたでしょうか? AWS Organizationsやその他のAWSマネージドサービスとの組み合わせを採用し、AWSのベストプラクティスに沿ったAWSアカウント管理を実践しましょう!ご精読いただきありがとうございます。

関連記事

85% が「自社でも実現できる」と回答。AI エージェントがデータを見て動く時代の業務変革

アマゾンジャパン品川オフィス はじめに AI BPRとは ワークショップの内容 参加者の声 組織への展開と本格導入 1.はじめに 売上や現場の数字を見ながら、次々と判断を下す毎日。「これAIでやってくれないかなぁ」と感じたことはありませんか。 生成 AI のニュースは毎日のように流れてきますが、自社の業務で「使える」という実感を持てている方は、まだ少ないのではないでしょうか。業務の中で日々判断を重ねている方ほど、目の前の業務を AI が

記事詳細
85% が「自社でも実現できる」と回答。AI エージェントがデータを見て動く時代の業務変革
AWS データ分析 生成AI
データと現場の声をAIエージェントが分析!「SMART」で作る新しい店舗運営のカタチ

はじめに 環境構築手順 Store Manager Agentで実現できること まとめ 1.はじめに 店舗運営において、こんなお悩みはありませんか。 売上データは見ているが、次に何をすべきか判断に迷う 売場づくりや品揃えが、どうしてもベテラン頼みになってしまう 在庫・売上・時間帯など、考えるべき要素が多すぎる 数字の振り返りはしているものの、改善アクションに落とし込めない こうした課題は、特定の業種だけのものではありません。 例えば、 ス

記事詳細
データと現場の声をAIエージェントが分析!「SMART」で作る新しい店舗運営のカタチ
AWS データ分析 生成AI
AWS Japan様と共催ワークショップ AIエージェントText2SQLでデータ分析

アマゾンジャパン品川オフィス3階 森のようなアトリウム はじめに Text2SQLとは ワークショップの内容 参加者の声 PoCから本格導入まで 1.はじめに 営業担当から突然、「この商品の半年分の売上推移のデータください」と言われ、思いがけないタイミングでデータ集計に時間を取られてしまう--。そんな依頼を様々な部署から受け、毎日追われている、というご経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか? こうした課題を解決する手段として注目

記事詳細
AWS Japan様と共催ワークショップ AIエージェントText2SQLでデータ分析
AWS 生成AI
踏み台EC2からセッションマネージャーへの移行の推奨

はじめに 踏み台EC2の課題 セッションマネージャーを使用した構成 セッションマネージャーの利点 まとめ はじめに アプリケーションEC2への接続手段として、従来は「踏み台EC2(Bastion Host)」を構築してSSH接続する方法が一般的でした。 しかし、現在はその手法は必ずしも効率的とは言えなくなっています。 現在はAWS Systems Manager Session Manager(SSM セッションマネージャー)を利用す

記事詳細
踏み台EC2からセッションマネージャーへの移行の推奨
AWS

お問い合わせはこちらから