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Googleが発表したチャットボット"Meena"とは?

2020.02.04 久保 大亮
利用事例 機械学習 自然言語処理
Googleが発表したチャットボット

日々AIに関する技術は発展していき、その中でも自然言語処理に関するトピックには目が離せません。
Apple社のSiri、AmazonのAlexaなど人間と会話できる(対話型)AIを通して、そういった技術が私たちの身近な存在になってきました。
そのような中、2020年1月末にGoogleが凄まじいAIチャットボット"「Meena」を発表しました。今回はこのMeenaから今後のチャットボットの可能性について考えていこうと思います。


そもそもチャットボットとは?何ができるのか?

一般にチャットボットとは、「音声やテキストを分析し、自動的に会話を行うロボット」のことを指します。
先ほど述べたSiriは、iPhoneの普及に伴ってその知名度は爆発的に上昇しました。

「明日の天気は?」「朝8時にアラームをセットして」など、話しかけるだけで応答してくれるシステムは確かに便利です。

しかしこのような技術を商業的に用いるとなると、どういったことが考えられるでしょうか?

例えば、「顧客からのメールや電話対応にチャットボットを用いて業務の効率化を図る」ことが挙げられます。 顧客からのサービスや製品についての疑問というものは、Web上のFAQを読めば分かるような事も多いでしょう。

そういった簡単な質問に対してチャットボットを活用すれば、実際の社員はそれ以外のクレーム対応など重要な対応に専念できます。

今後のAIの普及と共に「AIができること」と「人間が行うべきこと」の棲み分けが重要になってきます。


Meenaとは?既存のチャットボットとの違いは?

では本題の「Meena」について見ていきましょう。

SiriやAlexaは一問一答形式の応答には特化しています。しかし実際に"自然な"会話をしようとすると、 AIが答えやすいように人間側がちょっとした調整をしないといけません。

しかし今回紹介する「Meena」ですが、ディープラーニングの技術を用いて人間と"自然な"会話を行うことができます。

GoogleはこのMeenaの能力を定量的に評価するため、SSA(Sensibleness and Specificity Average)[整合度と特異度の平均] という新しい評価尺度を導入しています。

SSAは自然な会話に必要な特性を評価するための指標で、(AIの)応答が文脈において意味をなすか、 そしてそれまでの話に対して特有なものであるか(限定的なものか)を計測します。

一般に前者は既存のチャットボットなら可能ですが、後者を達成するのは難しいとされていました。

つまり、「私はテニスが好きです。」という発話に対して「私もです。」という応答はどんな話題にも当てはまりますが、 「私もです。ロジャー・フェデラーにはなれないけども!」という応答は当てはまる場面が限られてきます。 こういった応答ができるのがこのMeenaというわけです。

Googleはクラウドワーカーを使ってMeenaとの会話のサンプルを生成し、約100の会話で発話を評価しました。 このSSAに対して、Meenaは以下の好成績を叩き出しています。

meena1.png

[✳︎Google AI Blog より引用]

Humansは人間、Mitsuku、Cleverbot、DialoGPT、Xiaoiceは既存のチャットボットを指します。
Mitsukuはチューリングテストコンテストで有名な ローブナー賞 を過去4度受賞するほどのチャットボットでしたが、Meenaはこれに圧倒的差を付け、人間のスコアにかなり近い値を出しています。


Meenaとの会話

実際にMeenaと人間が対話しているテキストがGithub上に上がっているのでそれらの1つを見てみましょう。

まず比較のためにMitsukuと人間の対話を見てみます。

meena2.png

29行目で人間側が「遅刻した」と言っているのに、Mitsukuはその後3回も「あなたは遅刻したの?」と聞き返しています。ちゃんとした会話が成り立っていません。

ではMeenaと人間の対話はどうでしょうか。

meena3.png

論文のトピック(題名)について人間側が迷っているようですが、それに対しMeenaは「水中での呼吸法」とそこそこ的確な返答ができています。


チャットボットの今後の可能性

Meenaについて、今回Googleは「整合度と特異度にのみフォーカスしたが、今後の課題として他の属性(個性や事実性)にも注視していく」と述べています。

他にも、Meenaに安全性があるか、バイアス(偏見)を持たないかといった倫理的側面がチェックされるまで一般向けに公開しないとしています。

数年前 Microsoftが発表したチャットボット「Tay」が人種差別発言をしたことはまだ記憶に新しいです。 こういった差別的発言をしないようなチャットボットができる未来が楽しみです。

MeenaのSSAのスコアの高さには正直驚きを隠せませんでした。AIが人間の会話レベルに到達するのはそう遠くない未来かもしれません。

コールセンターでは、顧客からの製品に関する簡単な質問に答えるチャットボットを導入している企業もあるそうですが、 近い将来はクレーム対応など難しいタスクもこなせるようになるかもしれません。今回のMeenaの発表は、今後の技術発展への期待が止まらないものでした。


チャットボットを用いて改善できる業務

人間と同レベルもしくはそれに近いレベルのチャットボットが誕生したら何ができるようになるでしょうか。

先程述べたことも含め、以下のようなことが考えられます。

  • サービスや製品に関するお客様の疑問は全てチャットボットで対応できる(現時点で一部をAIに任せている企業もある)
  • 音声による感情分析と合わせれば、クレーム処理など高度な対応もできるようになる
  • お客様との会話データを全て残せるため、それらのデータからお客様のニーズをキャッチできる


こういったメリットはたくさんありますが、チャットボットと人間の応答を比較した時、ちょっとしたニュアンスの違いや倫理観のズレが生じる時もあるでしょう。
特にAIが犯したミスに関して、その責任の所在が「AI」にあるのか「AIを作った人間」にあるのかという議論も出てきます。
倫理的側面も含め、こういった問題との向き合い方がこれからの課題となってくるでしょう。


参考文献

Towards a Human-like Open-Domain Chatbot
Towards a Conversational Agent that Can Chat About...Anything


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