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機械学習でひみつ道具『ムードもりあげ楽団』の実現を考えた

2019.11.21 竹中 涼香
コラム 利用事例 機械学習
機械学習でひみつ道具『ムードもりあげ楽団』の実現を考えた

アクセルユニバース株式会社(以下 当社)では『機械学習・深層学習で世界を笑顔にする』を掲げ、人が対応している業務を画像認識、音声認識、文字認識等を活用して効率化する機械学習ソリューション開発をおこなっています。

今日は世界を笑顔にしたい私が
「ドラえもんのひみつ道具があれば、みんな笑顔になるのではないか!?」
と機械学習を活用してひみつ道具の実現を考えてみました。


目次

  • ひみつ道具の検討
  • 実現したいこと
  • 結果と今後


ひみつ道具の検討

ずばり、今回実現を検討したいひみつ道具は「ムードもりあげ楽団」です。 ひみつ道具の実現
出典:ドラえもんのひみつ道具を一つもらえるとしたら
人の気分を盛り上げる楽団ロボット。その時の気分によって楽曲を演奏してくれます。
人は嬉しい時には楽しい音楽、悲しい時には悲しい音楽が聴きたくなるものです。
今回は人の声から感情を判定し、適切な音楽が流れる仕組みを検討します!


実現したいこと

人間の発した音声からその時の感情を判定し、適切な音楽が流れる仕組みです。
ひみつ道具の実現
実現するために、システムが人の発語を聞き取り感情を分析し、予め決めておいた感情群に判定します。そして判定された感情によって異なる音楽が流れることが必要です。
今回は機械学習の範囲の、感情分析〜判定を考えていきましょう。感情の変化は音声の韻律特徴に表れるので、韻律特徴により4つの感情[喜び/悲しみ/怒り/フラット]に分類します。
いくつか文献を読んでこのように計画しました。文献は最後に紹介します。

ひみつ道具の実現

データの準備
複数の人から発声データを集め、音の高さ・強さを時系列データにし、適当な長さに分割する。
学習データ : 話者と面識のある人が音声データを聴き、感情を判定(ラベル付け)し、分割する。

モデル
SVM(Support Vector Machine)
未学習データに対する高い汎化性能があり、高い認識性能が認められている。
SVMについて当社ブログ/最初に学ぶ 2分類SVMモデルの基本

評価
交差検証法(クロスバリデーション)
膨大なデータを用意することが難しく、また人の声のため学習にムラがあるかも、と懸念し汎化を高めるために、全てを学習データとして扱う本法を挙げる。
少し計算に時間がかかるかも...。


結果と今後

今回は計画だけで実装はしていませんが、愛知工業大学での結果は精度60%程度で判定できています。
「短時間発話からの音声感情認識のための音声データ選択法に関する検討」
音声データを短く切ることで、特徴として捉える範囲が減り、似たグラフの動きを誤判定してしまうようで若干精度が低下しているようです。
別の研究だと、音声データだけではなく、表情も感情判定に使用し、こちらは精度68%〜70%と結果が出ています。
また、一度判定させたものに結果をフィードバックすることでさらなる精度向上も見込めると思います。


どうやら実現可能性は多いにありそうなので社内でウケが良ければ実装に向けて進めていきます!
ドラえもんひみつ道具シリーズはシリーズ化したいので面白いひみつ道具やお気に入りがあれば是非コメントください。


当社ではインターン生が取り組んでいることを技術ブログで紹介しています。
文系学部2年生の私が「SIGNATE」初参加で上位8%に入った話論文 Attention Is All You Need から Attentionモデルの解説等が公開されています。
定期的にメルマガでも情報配信予定なので、問い合わせページに「メルマガ登録希望」とご連絡ください。


参考

平井有三:"初めてのパターン認識"森北出版 2012
小野谷信一 長屋優子 : "表情と音声を用いたサポートベクタマシンによる感情認識"2014
短時間発話からの音声感情認識のための音声データ選択法に関する検討
SVMを用いた自発対話音声の感情認識における学習データの検討

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